売り場作り ディスプレイの作り方④
■ディスプレイの作り方④
こんにちは、VMD中村雷太です。
基本的なディスプレイの6要素を解説してきました。その中でも練習が必要な「構成」ですが、3つの構成を覚えるとディスプレイのバリエーションが増えるので紹介したいと思います。
■構成を組み合わせる
ディスプレイの6要素の1つ「構成」ですが、シンメトリー、リピート、トライアングルの3つの構成方法をマスターすると組み合わせることが出来るようになりディスプレイの幅が広がります。
■シンメトリーとリピートを組み合わせる
同じポーズのマネキンでリピートを作り、中央のバナーを中心にシンメトリー構成
■シンメトリーとトライアングルを組み合わせる
中央のオブジェやマネキンの構成はトライアングル、それらをシンメトリー構成
トライアングルで構成したディスプレイをシンメトリーに配置
■リピートとトライアングルを組み合わせる
下半身マネキンをリピートで構成、間のオブジェはトライアングルで構成
白と黒の雑貨でトライアングル構成しリピートせさる
珍しいパターン、トライアングル構成と逆三角形のトライアングルをリピート
■すべてを組み合わせるパターン
マネキンの配置はリピート、中央のオブジェはトライアングル、それを中心にシンメトリー構成。
■ディスプレイでなく壁面陳列にも使えます
中央のディスプレイはシンメトリー、左右のディスプレイはトライアングル、バッグーやラックの構成はリピート陳列。
■まとめ
3つの構成方法をマスターすると、ディスプレイだけでなく商品陳列にも応用できます。また、家のインテリアの配置などにも応用できるので、色々試してみてください。
BEFORE
AFTER シンメトリーに構成しなおしました
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売り場作り ディスプレイの作り方③
■ディスプレイの作り方③
こんにちは、VMD中村雷太です。
前回までにディスプレイの6要素のうち5つを紹介しましたが、今日は最後のひとつ
「構成」について説明いたします。
■ディスプレイにおける3つの基本構成
ディスプレイを作るさいに覚えておきたい構成方法は大きく、①シンメトリー ②リピート ③トライアングル の3つにわけられます。
これらを組み合わせることにより、ディスプレイの幅が広がりますので、是非覚えましょう。
①シンメトリー(左右対象)
ディスプレイの構成を左右対象に配置する構成方法です。人間は左右対象を美しいと感じます、多くの歴史的建築物が左右対象に作られています。
タージマハル
ディスプレイの例だと以下のような構成になります。
中心のタペストリーを中心に左右対象の構成で、比較的簡単な構成方法です。
②リピート(繰り返し)
ディスプレイをリズムよく、均等に配置する方法です。同じ色で型違い、同じ型で色違いなどを表現する際に効果的です。
注意点としては、ディスプレイの塊の形やマネキンの形はなるべく同じものにしたほうが、美しくなります。
リピート配置されたマネキン、同じポーズで型違いや色違いをアピール。
③トライアングル(三角構成)
ディスプレイの塊を三角形になるように、配置する構成です。
諸説ありますが*1人は三角形を好みます。
三角構成の注意点は、横から見ても上から見ても三角形になるように配置するという事です。
こちらは以前、生徒さんにしていただいたディスプレイですが、うまく三角形になっていません。
修正後がこちら
横からみても・・
上からみても三角形の構成です。
三角構成は、結構練習が必要なので身近にあるもの(瓶や箱など)で練習してください。
■まとめ
人はある一定のリズムとバランスを好みます。黄金比(1:1.618)などがその典型です。
よって、これらの法則を理解してディスプレイすると人が注目する確率があがります。
次回はこの構成を組み合わせる方法を説明いたします。
次の記事 https://aisleinter.hatenablog.com/entry/2019/05/24/103000
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*1:山を見ているから、木の形が三角だから、重力があるからetc
売り場作り ディスプレイの作り方②
■ディスプレイの作り方②
こんにちは、VMD中村雷太です。
ディスプレイを作るにあたって大切な6要素、①テーマ②サブテーマ③商品④キーカラー⑤ディスプレイ備品⑥構成。
2つのディスプレイを見比べてひとつひとつ解説していきます。
■メインテーマとサブテーマ
メインテーマ、これが無いと話になりません、2つの写真のディスプレイのメインテーマは「クリスマス」です。
サブテーマ、これは無くても大丈夫なのですが、設定することによりディスプレイのバリエーションを増やすことができます。
上の写真のディスプレイのサブテーマは「レディスクリスマスファッション」です。
下の写真のディスプレイのサブテーマは「メンズクリスマスファッション」です。
この店舗は二つ大きなウィンドウがあったのでサブテーマを分けることによってバリエーションを増やしました。
■商品
私たちVMDはこれを一番大事にしています、私たちは芸術家ではないからです。あくまでも売上をあげるための商品演出が目的です。
両方のディスプレイも「コートやジャケットなどの重衣料」を打ち出して購買意欲をそそるように演出しています。
■キーカラー
上のディスプレイは「白、シルバー」コーディネートも白系にしています、下のは「赤、黒」で、赤の中に黒のコーディネートを組み込んでメンズらしく引き締めています。
■ディスプレイ備品、什器
上のディスプレイは「白スパークハーフ布」「白モヘア布」「白、シルバーツリー」「ミラーボール」を使ってホワイトクリスマスを演出。
下のは「赤ツリー」「赤絨毯」「額」「シャンデリア」「ギフトボックス」などでインハウスクリスマスを演出。
最後の【構成】ですが、これはちょっと難しく、長くなるのでまた次回に解説しますね。
次の記事 https://aisleinter.hatenablog.com/entry/2019/05/22/121207
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売り場作り ディスプレイの作り方①
■ディスプレイの作り方
■ディスプレイの6要素
●メインテーマ
●サブテーマ
テーマを深堀りして、ディスプレイのバリエーションを増やすことができます。
無くても構いません。
●商品
これが最も大事で、ディスプレイの主役である打ち出し商品を決めて引き立つようにします。
●キーカラー
商品の色、ディスプレイ用品の色が多すぎると遠目から見て濁色になりごちゃごちゃして見えます。キーカラーは3色以内に絞ります。
●ディスプレイ備品
ディスプレイテーマを演出する小物や高さを出す什器を選びます。
ただし、装飾が過剰になりすぎて商品が埋もれてしまっては本末転倒なので注意します。
●構成
シンメトリー(左右対象) リピート(繰り返し) トライアングル(三角構成)といったディスプレイの基本を意識して構成します。
導線長 なるべく多くの商品が視界に入ると売上があがる
■VMDってなに?第四弾
こんにちは、VMD中村雷太です。
身近に存在しているVMDテクニックコンビニ編ですが、今回で最後です。今回は導線(動線)のお話です。導線とはお客様の歩く通路のことです。
■ISM(イズム)の法則
ISMとは、イン ストア マーチャンダイジングの略で「小売店頭で市場の要求に合致した商品および商品構成を最も効率的で効果的な方法によって消費者に提示することによって生産性を最大化する活動」*1なのですが、
大事なのは公式で
客単価=導線長×立寄率×視認率×買上率×買上個数×商品単価
です。
簡単に言うと、お客様にはなるべく店内をぐるぐる回って目にする商品を増やしてもらうと購買の確率が上がるということです。
赤〇で囲んだところにある商品が売れることはありません、なぜなら視界に入っていないからです。
■コンビニで導線長をのばす仕組み
コンビニでは、売上の70%近くが飲食品なので、まずは正面の食品コーナーへ向かいます、飲料を一緒に買い、レジに向かうだけでもぐるっと一周してしまいます。
飲料を先に買ったとしてもぐるりと回らざるを得ません。
■導線を伸ばすと、ついで買いを促進する
レジに向かう途中にこんなのがあると、おやつとしてつい買ったことありませんか?
そしてレジで並んでいるとガムやフリスクなどが目に入り、食後のことを考えてついで買いしたことありませんか?
■まとめ
お客様の歩くながさ(導線)を伸ばすと売上アップにつながります。
導線長を伸ばす取り組みは百貨店やショッピングセンターをはじめ様々な小売業に取り入れられています。
それらに比べて小さいコンビニでも導線長を伸ばす取り組みをしています。
他にもコンビニでは様々な取り組みがなされていますが、コンビニシリーズはこれにて一旦終了します。
いかがでしたか?私たちは身近にVMDに触れているのです。
次回からは、VMD業務の花形「ディスプレイテクニック」について書いていきますね、私も大好きです。Instagramで#vmd や #visualmerchandise で検索するとほとんどがディスプレイの写真です。やはり商品陳列やPOPの写真よりも映えるからでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございます。
*1:インストアマーチャンダイジングがわかる、できる。田島義博著 ビジネス社
売り場作り に必須の知識 ゴールデンゾーン シルバーゾーン
■VMDって何?第三弾
コンビニエンスストアを例にVMDテクニックを紹介していますが、今回はこれまた聞きなれない言葉「ゴールデンゾーン」の解説ですが人間工学を意識した売り場作りで、すでに皆さんもほぼ毎日経験しています。
■ゴールデンゾーンとは?
ゴールデンゾーンとは、人間のもっとも見やすい高さのことで、売上が一番に高まる場所のことです。
私たち人間の目線は20度前後下がったところが一番見やすく視線が集中しています。
ゴールデンゾーンの定義は人によって様々ですが、私は、ゴールデンゾーンの次に視界に入りやすい高さをシルバーゾーンと定義しています。
●男性のゴールデンゾーン
平均身長が、170cmくらいなので、男性は床から130cm~160cmがゴールデンゾーン。70cmから130cmがシルバーゾーン。
●女性のゴールデンゾーン
平均身長が、160cmくらいなので、120cm~150cmがゴールデンゾーンとなります。60cmから120cmがシルバーゾーン。
お菓子のコーナーを確認すると、コンビニの場合は60cmから160cmくらいに「大人に売りたい商品」を陳列しています。
中でも最も売りたい商品をゴールデンゾーンに陳列しています。
しかし、コンビニには60cm以下の部分にも商品は陳列されています。よく見てみると・・・・
子供の好きそうなお菓子が陳列されています。
そう、子供のゴールデンゾーンに陳列されています。
●子供の場合は80cm以下の場所がゴールデンゾーンとなります。
今度コンビニに行ったときにお菓子コーナーを見てくださいね。
■什器によって変わるゴールデンゾーン
また、ゴールデンゾーンは什器の形状によっては変わってきます、コンビニのお弁当コーナーやスーパーのL型什器では、下段もゴールデンゾーンになります。
■まとめ
男性、女性、子供によってゴールデンゾーンの高さは違います。売りたい商品はゴールデンゾーン、アピールしなくても売れる定番商品はシルバーゾーンと意識して商品を並べたり、ディスプレイの高さを変えてみてはいかがでしょうか。
■おまけ
人間の視界の上下だけ書いてきましたが、横幅の視界の広さというものがあります、商品の前に立つとき、だいたい幅90cmくらいが横視界なのでコンビニの什器の横幅は90cmと決められています。
次回はコンビニ編最終話「導線、ついで買い」です。
最後までご覧いただきありがとうございます。
スイングスペース 売場に変化を与える場所
こんにちは、VMD中村雷太です。
■VMDってなに?第二弾
みなさんも、日々VMDを体験している場所、コンビニエンスストア。
前回は、まずお店に入りやすくする心理学を応用したVMDテクニックを紹介しました、今回はお店に入ってすぐにある場所「スイングスペース」の紹介です。
■スイングスペースとは?
スイング=振る、動く、一定しない スペース=場所
つまり「変化する場所」のことで、コンビニでいえば、入ってすぐのこの場所のことです。
何故そのような場所を作るのか?
答えは簡単「お客様を飽きさせないため」です。
人間って飽きっぽいんです、変化を好みます。
新商品プロモーションしたり、協賛映画と連動させて変化させています、夏は花火や虫除けを展開したりしています。
■スイングスペースはスーパーにも
スイングスペースを取り入れている代表的な業態が、スーパーマーケット。
大半のスーパーがメイン入口から野菜コーナーから始まります。
お客様が入口から入ってきた時に、まず目に入ってくるのが
「野菜や果物の、新鮮さや鮮やかな色」です。
これを見ることによりお客様は「色や鮮度」により「購買意欲」が高まります。
また、野菜や果物というアイテムにより、「季節感」や「旬の品揃え」を見せることで、毎日来ても飽きられにくくしています。
■様々な売り場で設定されているスイングスペース
コンビニやスーパー以外にも、インテリアショップやショッピングモールなどでもスイングスペースは存在しています。
↑夏のインテリア提案のスイングスペース
↑バレンタインやピクニック提案をしているスイングスペース。
物販だけでなく、飲食店は日替わりメニューや夏限定、冬限定メニューなどを作ることで飽きられないような取り組みをしていますよね。
■まとめ
つまり、スイングスペースの役割とは・・・
「お客様に飽きられないよう変化させて新鮮さを演出する場所」
をつくり、再来店 リピーターを増やす役割があります。
近年、小売店は「競合の増加」「販売チャネルの多様化」「人口減少」などの原因から新規客を常に増えし続けることは困難になっています。
リピーターを増やすことで客数減に対応しましょう。スイングスペース、是非取り入れてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございます。
VMD 「ビジュアルマーチャンダイジング」とは???
■VMD(VISUAL MERCHANDISING)とは?
VMDとは VISUAL MERCHANDISING ビジュアルマーチャンダイジングの略です。
VISUAL「視覚的に」 MERCHANDISING「売り場作り」をすることですが、最近では、BGMといった「聴覚」店内フレグランスの「嗅覚」試食などの「味覚」素材の質感を伝える「触覚」など他の五感にも訴える手法も使うようになりました。
また「人の心に訴えるPOPの書き方」などは心理学をとりいれたり、「人の見やすい高さや照明の明るさ」といった人間工学も取り入れています。
なんだか難しそうな名前ですが、みなさんも日々 無意識に体験しています。
■VMDは身近にある
わたしは、VMD「ビジュアルマーチャンダイジング」という理論に基づいた、売り場作りのお手伝いをするというコンサルティング業務をしています。
みなさんも普段、デパート、ショッピングモール、スーパー、コンビニなどで買い物をしているはずです。
コンビニがおにぎりゃ弁当のコーナーを何故あの場所に設定しているのか?飲料コーナーの場所、ミンティアやガムの場所が何故あの場所に設定されているのか…
日焼けするのに雑誌コーナーが窓際に設定されているのか?
すべて理由があります。
↑一般的な路面店コンビニのレイアウト
■心理学を活用したVMDテクニック
では、コンビニを例にとって無意識に体験しているVMDのテクニックを紹介します。
まず先ほど述べた「何故日焼けするのに雑誌コーナーを店頭に配置しているのか?」を解説します。
誰も入っていない店ってなんとなく入りづらいですよね。
そこで、雑誌コーナーを店頭に設定し立ち読み客を立たせることによって「人が入っている」ことを視覚に訴え、人の心理に訴えかけ、安心感を与えて入店を促進しているのです。
しかし、最近ではコンビニの認知度はあがり入店のハードルは下がっているので雑誌コーナーは縮小してイートインコーナーが出来たり、立ち読み禁止が増えています。
つまり
「人が入っていると安心して入りやすくなる」
さらに言えば
「人がたくさん入っていると気になって入りたくなる」
これは心理学では(よく似た他者の社会的証明)*1と言われています。
この深層心理を悪用しているのが「さくら」で、オープン初日にさくらを雇って行列をつくり、あたかも人気店のように装うようなことです。
「行列が出来ている店は気になる」
「人が指さしていると気になってみてしまう」
これらも同じ人間の心理です。
■まとめ
つまり、入口付近に人がたまるような仕掛けを作ると入店促進につながります。
例
● 試飲、試食コーナーを作り、人だかりを作る
参考写真 KALDI
● 興味を引くようなディスプレイやオブジェのどを設置する。
ショーウィンドーディスプレイ
● 店内の掃除は営業前が必須だが、人が見える店外は営業中でもアピールになる。
などがあります。
今回はここまで…
次はスイングスペースという、なんだかまた難しそうな概念…に思えて普段から接している場所の解説をいたします。
最後までご覧いただきありがとうございます。